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脳梗塞 夏に怖い脳の病│主治医が見つかる診療所
主治医が見つかる診療所(080714 放映)の
脳梗塞 について。
「夏に怖い脳の病」
上山博康 医師
・旭川赤十字病院 脳卒中センター長 脳神経外科
・年に600例の手術を行い、今までに2万人以上の患者を救ってきた。
主治医が見つかる診療所 担当医は
上山博康 医師(旭川赤十字病院 第一脳神経外科部長 脳神経外科)、南淵明宏 医師(大和成和病院 院長 心臓血管外科)、金武英 医師(梅丘内科 院長 内科・循環器科)、秋津壽男 医師(秋津医院 院長 内科)、新見正則 医師(帝京大学医学部附属病院 准教授 血管外科)、森智恵子 医師(シロノクリニック 恵比寿本院 副院長 皮膚科・産婦人科)、南雲吉則 医師(ナグモクリニック 院長 乳腺専門)、姫野友美 医師(ひめのともみクリニック 院長 心療内科)
主治医が見つかる診療所 ゲストは
太田房江 さん、藤田朋子 さん、森本レオ さん。
主治医が見つかる診療所 司会は
草野仁 さん、東野幸治 さん、アシスタントは、磯山さやか さん。
◆脳梗塞 について
・脳への血管が動脈硬化などで詰まると、脳の細胞に栄養や酸素が途絶えて、脳の細胞が壊死し、さまざまな重篤な症状が出る。
・身体に麻痺が出たり、言語障害などを起こし、最悪の場合は命を失うことも。
(ある患者さんの脳の写真の例)
・病院に来たときは、身体の右半身が動かず、言葉が出ないが、意識はある状態。
─>3日目には、意識が混濁
─>数時間後(3日目の夕方)、昏睡状態(意識がなく、呼びかけに応じず、目も開けない状態)
・左脳が腫れて、右脳も圧迫している。
─>救命のため、骨を外す手術を行った。
・足などは腫れると外側に腫れるが、脳は外側に骨があるので、腫れを外に逃がすことができない。
・骨を外す手術で救命はできても、失われた機能は戻らない。
<脳梗塞の特徴>
・脳細胞は、身体の中でも壊死するのがもっとも早い部分。
(早い場合は3分で機能を停止し、細胞が壊死する)
・詰まった血管の先の脳細胞が虚血状態になり、やがて壊死する。
・脳梗塞の発症は40代から危険性が高くなる。
・発症数は2分20秒に1人。日本では22万人/年が発症している。
・夏に脳梗塞の危険性が増す。
◆夏の脳梗塞の危険性
・脳梗塞の発症は夏(6〜8月)に最も多い。
・原因は、脱水。
・運動での発汗、寝汗などで、血液の水分が減る。
─>血液の流れが悪くなり、詰まりやすくなる。
・ビールなど(多量の飲酒)も利尿作用があるので、体が脱水状態になり、脳梗塞の発症の引き金になる。
藤田朋子 さん:「心配。ダンナは、水も飲まずにビール飲んで、そのまま寝るんですよ。それで起きたら頭痛がするといって、痛み止めを飲むんですよ。危ない」
上山博康 医師:「最悪ですね」
太田房江 さん:「(脳梗塞は)心配ですね。祖母が亡くなったのはこの時期なので、なんで冬じゃなくて夏なんだろうと思っていたんですけど、どうしてなのか分かりました」
上山博康 医師:「脳梗塞は本人も辛いですが、介護などで家族も巻き込む一大惨事なので、夏にならないように気を付けることが大切」
森本レオ さん:「身体がいろいろ大変なので、脳梗塞まで気が回らなかったんですけど」
東野幸治 さん:「身体が大変?」
森本レオ さん:「歯医者選びを間違ってしまって、10年間仮歯なんですよ。首がパンパンに腫れて、左目も腫れた状態が続いていて」
上山博康 医師:「虫歯や蓄膿症などの慢性症状と、脳梗塞の発症率には関係があるということが近年の研究で分かっています。首から上に炎症がある人は、有意発生率が多い」
◆脳梗塞 予防には
:「正しい知識を持つことが、最大の予防になる」(上山博康 医師の提言)
<特徴的な症状は?:実際の患者さんの体験談>
(72歳男性、6年前に発症)
・朝起きてすぐに、言葉が喋れなかった。呂律が回らない。
・洗面所に行って、歯ブラシがうまく使えなかった。
(口の中には入るが、右手がうまく使えず、自由に動かせなかった)
(71歳男性、7年前に発症)
・現在も失語症が残っている。
・昼食を摂ろうとしたとき、水を飲んだら、口の横からこぼれた。
・右手が震えて、奥さんが声をかけても返事がなかった。
(聞こえていないようだった)
<解説:上山博康 医師>
:「ない」が付く症状が特徴
・脳梗塞に限ったことではなく、脳の病の典型的な特徴は
「ない」が付く症状。
・動けない、動かない。
・話せない。(喋れない)
・聞こえない。
・見えない。
・感覚がない。
・意識がない。(重症だと)
など。
─>「ない」が付く症状は、危ない。脳梗塞を疑う症状。
(起き上がれない、文字がうまく書けない、方向感覚がなくなった、なども)
<症状の特徴的な出方は?:実際の患者さんの体験談>
(49歳男性、3日前に発症)
・3日前に同僚と飲みに行ったとき、突然右足が動かなくなった。
・その後、右手の動きも悪くなった。
(67歳男性、3年前に発症)
・夕食時に左足が動かなくなり、その場に倒れた。
・奥さんによると、「口から食べ物が出ていた」
・奥さんに手伝ってもらって起き上がったが、夕食後に立ち上がった瞬間、左足に力が入らず倒れた。
・現在は2カ月ごとに検診。
(71歳男性、11年前に発症)
・自覚はなかったが、奥さんに「顔がおかしいよ」と言われた。
─>口の片側が大きく曲がっていた。
<解説:上山博康 医師>
:身体の片側に異変が出るのが特徴。
・「ない」という症状が、身体の片側に出る。
・大半の臓器は左右同じ機能なので、片側に異常が出ても機能が半分になるだけだが、脳の場合は左右の脳で特有の機能がある。
─>90%以上の人は言語野が左脳だけにあるので、左脳にダメージがあると、言葉に障害が出る。
・脳から出た神経は延髄で交差し、右脳は左半身、左脳は右半身の機能を司る。
・左脳にダメージがあると、右半身に症状が出る場合が多い。
・右脳にダメージがあると、左半身に症状が出る場合が多い。
・脳梗塞の多くは左右どちらかに起きるので、身体の片側に症状が出る。
(ポイント)
・身体の両方に麻痺が出た場合は、脊髄や脳幹の異常が疑われる。
・脳梗塞は、右脳よりも左脳に起こる率が、若干多い。
・左脳は大事だが、多発の傾向がある。
・言葉に異変が出る、右半身に麻痺が出るなどの症状のときは、要注意。
(左脳に脳梗塞の疑いがある)
◆脳梗塞の危険因子
(ストレスと喫煙)
:ストレス
・脳梗塞の発症が多い曜日=月曜日
・ストレスが多いため、と思われる。
<解説:上山博康 医師>
上山博康 医師:「僕の偏見と独断が入りますが」
・動物の最大のストレス原因は、原始の時代からライオンなどの外敵。
・身を守ろうとすると、血管が縮む。
─>出血を少なくするため。
・血小板が働きやすくなり、血が固まりやすくなる。
(血小板は、血液中に含まれる細胞成分の一種で、血管が損傷したときに、傷口をふさいで出血を止める働きをする)
─>脳梗塞を惹き起こす危険因子にもなる。
・人間は身体に対するストレスだけではなく、対人ストレス(人間関係、仕事関係)でも区別することなく、血が固まりやすくなる。
:喫煙
・タバコを吸うと、ストレスがかかったのと同じ状態になる。
・血管が縮み、血が固まりやすくなる。
太田房江 さん:「人はストレスがあるとき、タバコを吸いますが?」
上山博康 医師:「ランナーズハイと同じではないかと思います。人間は、苦しみから解き放たれたときに快感を感じますよね。タバコを吸って血管が縮んで、次に緩むときに快感を感じるのでは? だから、一服しているときよりも、一服終わった後に快感なのではないか」
◆脳梗塞の危険因子との付き合い方
上山博康 医師:「僕は『脳梗塞は血管の錆び(サビ)』と説明していますが、血管の質が、ステンレス製の人と鉄製の人がいるんですね。これは遺伝によるので、変えることはできない。危険因子は環境と同じ。鉄製の血管の人は、潮風を避けるように、環境に気を付ける必要がある」
・血管の質(ステンレス製か鉄製か)は遺伝によるので、家族歴などでだいたい分かる。
(ステンレス製で錆びにくい=動脈硬化を起こしにくい血管
鉄製で錆びやすい=動脈硬化を起こしやすい血管)
・家族や先祖に脳卒中(脳梗塞・クモ膜下出血・脳出血)や心筋梗塞になった人がいる場合は、危険因子に気を付ける必要がある。
・脂っぽい食事を控える。
・塩分を控える。
・タバコ、酒をやめる。
─>節度を保つことが大切。
(動脈硬化の危険因子)
・加齢、糖尿病、高脂血症、高血圧、喫煙、過度の飲酒、脂っこい食事、など
上山博康 医師:「マーフィーの法則で、都合の悪いのは必ず遺伝する。僕も髪の毛はオヤジのが遺伝した」
出演者:「そんなことないじゃないですか」
上山博康 医師:「ロマンスハゲ? 都合の悪いことは遺伝すると思っていた方がいい」
◆脳梗塞 前兆
<前兆の症状は?:実際の患者さんの体験談>
(63歳男性、13年前に発症)
・脳梗塞の発症の1年前に、右手に違和感が出た。
・帰宅して鍵を取り出そうとしたとき、右手ではどれがどの鍵だか(車のか家のか)分からなかった。
・鍵を落としたことが度々あった。
(54歳男性、今年の2月に発症)
・1カ月前に、左目が見えづらく2重に見えた。
・老眼だと思い、眼科に行った。
(その他)
・目まいがあった。
・耳鳴りがした。
・味が分からなくなった。
など。
<解説:上山博康 医師>
:一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)
・一時的に血管が詰まって症状が出て、24時間以内に再開通し、症状がなくなる。
・特有の前兆症状
・3割の脳梗塞患者さんが経験。
─>その多くの患者さんが、前兆後、1カ月以内に発症している。
(前兆から発症までの時間
・当日:22%、翌日:13%、3〜7日後:20%、8〜14日後:7%、15〜21日後:8%、22〜28日後:5%、29日後:25%)
:突然現れる「目の異常」は、脳梗塞を疑うこと
・首の先で動脈は2つに分かれる。
─>内頚動脈が最初に枝出すのが目。
─>最初に、目に異常が出ることが多い。
<目に出る前兆症状 例>
・黒内障(こくないしょう) : 突然、幕が掛かったように暗くなる。
・視野欠損(しやけっそん) : 視野が欠ける。
・黒い点 : 視野の中に黒い点が見える。
・閃輝暗点(せんきあんてん) : 光が走ったように見える。
など。
◆前兆のない脳梗塞
:心臓に血の塊ができ、それが飛んできて、脳の血管に詰まる脳梗塞
<解説:南淵明宏 医師>
・心臓は規則正しく脈打ち、脳へ、血液を送っている。
・脱水症状、酒の飲みすぎ、大きなストレスなどで、心臓に心房細動が起こると、血が淀んで血の塊(血栓)ができる。
─>心臓で血の塊ができると血流によって全身に送られてしまい、その先で血管に詰まる。
─>脳の血管に詰まると脳梗塞になる。
・この脳梗塞は、症状の程度が重く、死亡する確率も高い。
・大きな塞栓の場合は、首から頭の中の血管が全部詰まる場合もある。
◆脳梗塞の治療 例
・発症から3時間以内の場合、t-PA(血の塊を溶かす薬)を使うことができる。
・3時間以上経ってから投与すると、脳出血を起こす恐れがある。
(強い薬で、血管に負担がかかり、脳出血を起こす恐れ)
(実際の患者さんの例:70歳男性)
・右半身に麻痺、言葉も呂律が回らない状態。
・家族の同意を得て、3時間以内に間に合ったので、「t−PA」(t-PAという脳梗塞の治療薬を用いる治療:血栓溶解療法)を実施。
─>20分後に右手が動くようになり、言葉も呂律が回るようになった。
患者さん:「よほどしゃべられるようになった」
・後遺症なし。
<t−PA投与の条件>
・以下の条件に適応しない場合、t-PAによる治療は認められない。
・発症から3時間以内
・脳の専門医が診断
・CTとMRIの検査ができる病院
ほか。
◆脳梗塞になった場合
:急いで、脳の専門医のいる病院へ
上山博康 医師:「大切なのは時間。『time is brain(脳)』 脳梗塞で倒れた場合は、すぐに救急車を呼んで、専門病院に運ぶこと」
・3時間以内が生死の分かれ目
・近くに、専門医のいる病院を探しておくことも、いざというときの備えになる。
<救急車を呼んでいる間の処置>
・嘔吐している場合があり、仰向けに寝ていると気道が詰まるので、身体を横向きにし、首は斜め下に向ける。
・麻痺が出ている半身側を上にする。
◆脳梗塞で大切なこと
・時間が大切 : time is brain.
・絶対にあきらめないこと。 : Never give up.
(リハビリのときも。奇跡的に回復されている方はたくさんいらっしゃるので、とのこと)

